リスク管理態勢
当社は、資産管理業務を専門に行う信託銀行として、リスク管理が経営の最重要課題の一つであるとの認識から、独立したリスク管理部署として業務管理部を設置しています。この業務管理部では、すべてのリスクを総合的に管理するとともに、取締役会等においてリスク管理方針の決定やリスク管理状況の把握、検討を行うなど、経営全体で当社のリスクを認識、管理する態勢としています。また、業務管理部担当役員を委員長とするリスク管理委員会を経営会議傘下に設置し、リスク管理全般に関する諸事項を調査、審議しています。これに加えて、同じく業務管理部担当役員を委員長とする業務改善委員会を設置し、重大事案に関する原因分析や再発防止策等を関係部で協議することにより、業務の改善および潜在リスクの削減を図る態勢としています。
業務を運営するにあたり、各リスクに関する諸規定を整備し、ルールに基づいた適正なリスク管理を実施する等、リスク管理態勢の整備、充実に努めています。
個別リスクへの取り組み
当社では、リスクのうち「信用リスク」「市場リスク」「資金流動性リスク」「オペレーショナルリスク」「評判リスク」を特に重要なものとして管理しています。これらのリスクの管理については、資産管理業務を行う信託銀行としての独自性に鑑み、以下の方針で行っています。
(1)信用リスク管理
当社では、信用リスクを「信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフバランス資産を含む)の価値が減少ないし消失し、損失を被るリスク」と定義し、業務管理部に審査グループを設けて、信用供与状況を適正な水準内に保つようにしています。
(2)市場リスク管理
当社では、市場リスクを「金利、有価証券等の価格、為替等の様々な市場のリスクファクターの変動により、保有する資産、負債(オフバランス資産、負債を含む)の価値が変動し損失を被るリスク(市場リスク)、および市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク(市場流動性リスク)」と定義し、業務管理部に総合リスク管理グループを設けて、市場リスク限度額および損失上限額を定め、市場リスクが過大とならないようにしています。
(3)資金流動性リスク管理
当社では、資金流動性リスクを「当社の財務内容の悪化等により必要な資金が確保できなくなり、資金繰りがつかなくなる場合や、資金の確保に通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク」と定義し、資金流動性リスクの重要性に鑑み、資金流動性リスク管理部署(業務管理部)と資金繰り管理部署(証券取引執行部)を組織的に分離し、定期的に資金調達状況や市場環境などのモニタリングを実施しています。
(4)オペレーショナルリスク管理
当社では、オペレーショナルリスクを「内部プロセス、人、システムが不適切であること、もしくは機能しないこと、または外生的事象に起因する損失に係るリスク」と定義し、オペレーショナルリスクのうち「事務リスク」「情報リスク」「ITリスク」「法令等リスク」「法務リスク」「有形資産リスク」「人材リスク」を特に重要なものとして管理しています。
①事務リスク管理
当社では、事務リスクを「役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故または不正等を起こすことにより損失を被るリスクおよびこれに類するリスク」と定義しています。業務管理部を事務リスク主管部署とし、マニュアル等の継続的な整備、拡充、事務手続きを行う際の権限、ルール等の遵守の徹底、事務に関する定期的な研修、指導の実施等により、事務水準の向上や不適切な事務手続きの防止に努めています。
②情報リスク管理
当社では、情報資産リスクを「情報の喪失、改竄、不正使用および外部への漏洩等により損失を被るリスクおよびこれに類するリスク」と定義しています。業務管理部を情報リスク主管部署とし、規定等の整備強化を図ることで、顧客情報を含む社内情報管理の徹底を行う対策を講じています。
③ITリスク管理
当社では、ITリスクを「システム計画、開発および運用面の疎漏、サイバーセキュリティを含むITセキュリティ上の脅威および脆弱性ならびに災害等の外生的事象等を起因として、システムの破壊、停止、誤作動または不正使用、あるいは電子デバイスの改竄または漏洩等により損失を被るリスクおよびこれに類するリスク」と定義しています。ITリスクにはコンピュータシステムを構成するハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等のシステム資産に係るものがあります。業務管理部をITリスク主管部署とし、規定等の整備強化を図ることで、システム障害に備えて、コンピュータやネットワークなどの重要な機器については二重化を図るなどの対策を講じています。
④法令等リスク管理
当社では、法令等リスクを「法令等の遵守状況が十分でないことにより損失を被るリスク(他のリスクに係るものを除く)およびこれに類するリスク」と定義し、業務管理部に「法務・コンプライアンスグループ」を設けて、一元的に法令等リスク管理を行う態勢にするとともに、役職員に対しコンプライアンス(法令遵守)の徹底を図っています。
⑤法務リスク管理
当社では、法務リスクを「契約等の検討や訴訟等への対応が不十分なことにより損失を被るリスク」と定義しています。業務管理部に「法務・コンプライアンスグループ」を設けて、契約締結前における法的問題の検証や訴訟案件の一元的管理を行う態勢としています。
⑥有形資産リスク管理
当社では、有形資産リスクを「災害や資産管理の瑕疵等の結果、有形資産の毀損や執務環境等の質の低下等により損失を被るリスクおよびこれに類するリスク」と定義しています。人事総務部を有形資産リスク主管部署とし、管理すべき有形資産リスクの脆弱性を把握した上で、その抑制、軽減を図っています。
⑦人材リスク管理
当社では、人材リスクを「人材の流出、喪失等や士気の低下等により損失を被るリスクおよびこれに類するリスク」と定義しています。人事総務部を人材リスク主管部署とし、人材の質、量の変化および業務への影響度合い等を把握した上で、必要な管理手続きを制定し、役職員に対し徹底を図っています。
(5)評判リスク管理
当社では、評判リスクを「当社の事業活動が、お客さま、株主、投資家および社会等、幅広いステークホルダーの皆さまの期待や信頼から大きく乖離していると評判されることにより、当社およびMUFGグループの企業価値の毀損に繋がるリスク」と定義しています。総合企画部を評判リスク主管部署とし、評判の悪化の可能性を把握した上で、必要な管理手続きを制定し、役職員に対し徹底を図っています。